枕の高さは自分で調節できる

従来は、枕を自分の体に合わせようとか、体に合う枕を選ぼうという概念はほとんどありませんでした。

そこで、私が最初に取り組んだのは、市販の枕を買ってきて、それが体にジャストフィットすることは偶然の賜物であり、確率のとても低いことを一人でも多くの人に知ってもらうことでした。

不適合な枕に一晩中、首および全身を預けることに危機感を持てた人は、おのずと自分に適合する枕を求めるようになります。

私は、枕の調節方法を集大成し、調整法を完成させました。簡単にいうと、仰臥位(上向き姿勢で寝た時)および側臥位(横向き姿勢で寝た時)で枕の高さを調節したのち、寝返りが最もスムースに打てるように確認する方法です。

この方法には3年かかってしまいました。

  • 枕調節の行い方

次に紹介する方法で、ご自分に適合する枕は自宅にある素材で簡単に手作りできます。ご家族などが手伝ってくれると最良ですが、鏡があれば一人でも調節は可能です。

  • 用意するもの

自宅にあるもので十分ですから、わざわざ購入する必要はありません。

玄関マットー枚(土台になる部分、横50~60cm、縦90cmほどの大きさで、毛足の短いしっかりした硬めのもの)

タオルケット一枚(調節に必要、大判で毛足の短い硬めのもの)

なお、大柄で体格のよい人は、バスタオルも1枚用意してください。

次の手順で、実際に自分の体に合うように枕の高さを調節していきます。

  • 玄関マット枕の作り方

揃えた素材を使って、調節の土台となる枕を作ります。

①玄関マットは蛇腹の3つ折りにします。

②タオルケットは、まず短い方を玄関マットの横幅に合わせて折ります。次に、長さも玄関マットに合わせて蛇腹折りにします。

③玄関マットの上に②を重ねます。これでしっかりした下部とやや感触のよい上部の2層となります。重ねる際は、タオルケットの折り目の向きが重要です。1枚ずつめくれる方を首に当たる側にします。この置き方だとめくったタオルケットは首と反対側にたまるので、首には影響しません。

④玄関マットとタオルケットの端はきちんと揃え、首に当たる側は直角になるようにベッドや敷きぶとんの上にセットします。

 

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枕は自分の体に合わせて選ぶ

体に合う枕の3大条件とは何なのでしょうか?

枕は睡眠中の頭の位置を決定し、首から腰・骨盤までの寝返りの体軸を決定する最も重要な要素といえます。一人ひとり体格が異なる以上、至適(最適なこと)な枕も異なるのです。

そこで、枕の3大条件を理解すれば、いつも自分に至適な枕で眠ることができるようになります。

条件1

高さ調節。上向きと横向きの両方に合う高さを決定します。3~5mmの微調節が必要です。

条件2

硬さと形状。条件1で決定した高さを一晩中維持するには、寝ている間に沈み込まない適度な硬さが必要です。なお形状は、寝返りが打ちやすいように平ら(フラット)にしてください。

条件3

メンテナンスが必要。至適枕を作成しても、変わらずに使い続けることはあり得ません。身長の伸び、太ったり痩せたりといった体格の変化、寝具の環境、とくに寝台やふとんの変化などで、適宜、至適枕も調節が必要になります。

「調節はどのぐらいの頻度でするのがよいですか」とよく聞かれます。定期的にチェックするというよりは、「不適合を感じたら早急に調節が必要」と考えていただければいいでしょう。

ここでいう不適合のサインは、2つあります。どちらも起床時にわかります。

1つは、朝起きたら枕が頭の下になかったという状況です。そこまでひどくなくても、枕が上や斜めにずれていても要チェックです。

もう1つは、目が覚めた瞬間に首の痛み、肩こり、手のしびれなどを感じる場合です。

もちろん睡眠中から同様の症状があれば、枕が犯人の可能性が高くなります。

これらのサインはただの偶然ではありません。枕が不適合になる原因が生じたことを、枕をはずすことや痛みを発することで、体が訴えているのです。たとえば、体重の変化や背中の丸みがその枕の高さの限界に至ったとか、冬になって厚い寝間着を着て掛けぶとんも2枚になり、寝返りがしにくくなったなどが考えられます。

この2つのサインのうちどちらか一方でも現れたら、次に述べる方法ですぐに枕の再調節をしてください。再び快適に眠れるはずです。

 

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整形外科医のコラボ

私は、睡眠姿勢については、骨格や筋肉、運動器を扱う整形外科医が担うべき仕事と考えています。そこで私は、枕や寝台の調節や睡眠姿勢の研究を全国に2万人以上いる整形外科医に理解してもらい、共同研究をしたいと切望しました。

初めて、日本整形外科学会学術総会で私は枕の発表をしました。その時、「あの寝る時に頭に敷く枕の研究ですか?」と怪訝な表情で聞かれました。その悔しさは今でも心に刻まれています。

しかし、理解してくれる整形外科医は、いつか必ず現れると信じました。何より臨床効果をこれだけあげている枕の有効性を理論的に検証できれば、誰も否定することはできまいと確信していました。

実際に徐々に理解者は現れたのです。全国に10県の整形外科病院や診療所、内科でも枕計測を行えるようになりました。

今では、「睡眠姿勢を考える会」を発足し、睡眠姿勢を中心にして患者様にとっての最良の治療とは何かを真剣にディスカッションする、整形外科医の同志十数名が集まるようになりました。

さらに、私はこれまでの整形外科医としての人生の中で、最高峰ともいえる講演の場をいただきました。それは、大学整形外科教室を中心とした脊椎クループの研究会が主催した頚椎のセミナーです。

私はこの10年間の睡眠姿勢研究を、脊椎のプロ中のプロである整形外科医150名以上の先生方を前にお話しできるチャンスを得たのです。

前日はほとんど眠れず、当日は足が震えましたが、結果は成功です。

主催者の先生方から、「誰も足を踏み入れたことのないオリジナリティの高い研究を、科学的に検証している。整形外科医は臥位姿勢についてもっと知るべきだ」といわれ、高い評価をいただきました。

この言葉に涙が出るほどうれしく、睡眠姿勢革命への闘志が奮い立つのを実感しました。

 

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枕診断士を育成

「枕診断士」とは、一般には聞きなれない名称だと思います。

その仕聨は、対面で患行様やお客様の枕の計測を行い、枕や寝具環境についてのアドバイスも行います。世の中に様々な快眠のライセンスがありますが、整形外科医が育成し認定するのは枕診断士だけです。もちろん枕診断士は今ではたくさんいます。

枕研究所内に枕診断士養成講座を開設しました。

80時間以上の計測実習と12回の講義を終了し、卒業試験に合格すると、枕診断士のライセンスを取得できます。

このライセンスがないと枕の計測も寝具環境のアドバイスもできません。以前は少ししかいなかった枕診断士ですが、現在はたくさんの枕診断士が全国を飛び回っています。

枕診断士は計測の際に枕カルテを作成します。内容は患者様やお客様の体格計測の結果、症状、寝具環境などの基本情報と、枕計測結果の高さと硬さなどを記人していきます。

そして、今後起こり得る枕のアフターサポートの予測値なども書き込みます。

その後、枕のメンテナンス、すなわちサポートを何度となく繰り返していきますが、この枕カルテによって、経過観察から適切なアドバイスや枕の調節までが叮能となります。

これまでに計測した数万人にも及ぶビッグデータこそ、会員を見守る最も重要な情報であり、宝ともいえます。

 

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