枕は自分の体に合わせて選ぶ

体に合う枕の3大条件とは何なのでしょうか?

枕は睡眠中の頭の位置を決定し、首から腰・骨盤までの寝返りの体軸を決定する最も重要な要素といえます。一人ひとり体格が異なる以上、至適(最適なこと)な枕も異なるのです。

そこで、枕の3大条件を理解すれば、いつも自分に至適な枕で眠ることができるようになります。

条件1

高さ調節。上向きと横向きの両方に合う高さを決定します。3~5mmの微調節が必要です。

条件2

硬さと形状。条件1で決定した高さを一晩中維持するには、寝ている間に沈み込まない適度な硬さが必要です。なお形状は、寝返りが打ちやすいように平ら(フラット)にしてください。

条件3

メンテナンスが必要。至適枕を作成しても、変わらずに使い続けることはあり得ません。身長の伸び、太ったり痩せたりといった体格の変化、寝具の環境、とくに寝台やふとんの変化などで、適宜、至適枕も調節が必要になります。

「調節はどのぐらいの頻度でするのがよいですか」とよく聞かれます。定期的にチェックするというよりは、「不適合を感じたら早急に調節が必要」と考えていただければいいでしょう。

ここでいう不適合のサインは、2つあります。どちらも起床時にわかります。

1つは、朝起きたら枕が頭の下になかったという状況です。そこまでひどくなくても、枕が上や斜めにずれていても要チェックです。

もう1つは、目が覚めた瞬間に首の痛み、肩こり、手のしびれなどを感じる場合です。

もちろん睡眠中から同様の症状があれば、枕が犯人の可能性が高くなります。

これらのサインはただの偶然ではありません。枕が不適合になる原因が生じたことを、枕をはずすことや痛みを発することで、体が訴えているのです。たとえば、体重の変化や背中の丸みがその枕の高さの限界に至ったとか、冬になって厚い寝間着を着て掛けぶとんも2枚になり、寝返りがしにくくなったなどが考えられます。

この2つのサインのうちどちらか一方でも現れたら、次に述べる方法ですぐに枕の再調節をしてください。再び快適に眠れるはずです。

 

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整形外科医のコラボ

私は、睡眠姿勢については、骨格や筋肉、運動器を扱う整形外科医が担うべき仕事と考えています。そこで私は、枕や寝台の調節や睡眠姿勢の研究を全国に2万人以上いる整形外科医に理解してもらい、共同研究をしたいと切望しました。

初めて、日本整形外科学会学術総会で私は枕の発表をしました。その時、「あの寝る時に頭に敷く枕の研究ですか?」と怪訝な表情で聞かれました。その悔しさは今でも心に刻まれています。

しかし、理解してくれる整形外科医は、いつか必ず現れると信じました。何より臨床効果をこれだけあげている枕の有効性を理論的に検証できれば、誰も否定することはできまいと確信していました。

実際に徐々に理解者は現れたのです。全国に10県の整形外科病院や診療所、内科でも枕計測を行えるようになりました。

今では、「睡眠姿勢を考える会」を発足し、睡眠姿勢を中心にして患者様にとっての最良の治療とは何かを真剣にディスカッションする、整形外科医の同志十数名が集まるようになりました。

さらに、私はこれまでの整形外科医としての人生の中で、最高峰ともいえる講演の場をいただきました。それは、大学整形外科教室を中心とした脊椎クループの研究会が主催した頚椎のセミナーです。

私はこの10年間の睡眠姿勢研究を、脊椎のプロ中のプロである整形外科医150名以上の先生方を前にお話しできるチャンスを得たのです。

前日はほとんど眠れず、当日は足が震えましたが、結果は成功です。

主催者の先生方から、「誰も足を踏み入れたことのないオリジナリティの高い研究を、科学的に検証している。整形外科医は臥位姿勢についてもっと知るべきだ」といわれ、高い評価をいただきました。

この言葉に涙が出るほどうれしく、睡眠姿勢革命への闘志が奮い立つのを実感しました。

 

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